【格好良い振られ方選手権】据え膳のない世界線
本日はヒツコスだけが気合ムンムンプレゼンツの企画をお届けします。
その名も……
格好良い振られ方選手権
映画・漫画・小説などで、想いが通じ合うシーンや結ばれるシーンや人生を共にした2人が別れを選ぶシーン。
ときめきや苦々しさや切なさやと共に心に残りますよね。
しかし、そのいずれでもなく、振られるシーンに注目したのが本企画。
「振られ方」と受け身で明記していますが、実際は格好良く振る人頼み。
格好良く振る人がいてこそ、格好良い振られ方が成り立つ方程式となっております。
格好良い人だから格好良く振るのか、格好良く振るから格好良い人なのか。
格好良いの永久機関。
据え膳を食ってないことが条件
その格好良いとはなんのか？
基本的には自分が格好良い〜！！！と思ったらオーケーなのですが、据え膳を食ってないことだけは条件とさせていただきます。
ですから、矢沢あい先生作品は対象外となります。
世の中には据え膳を食ってから振る名シーンも数多くあるのですが、据え膳振りはちょっと普通すぎて……！！！
普通＝リアルってことでもあるんですが、けっこうすぐそばにある世界線。まいどーって馴染みの店感。
どうか、格好良くあれ！！！
格好良い人は格好良く振る人であれ！！！うぉぉぉーーー！！！
ということで、ヒツコスから。
ヒツコスの格好良い振られ方＃01：アラゴルン
作品名：ロード・オブ・ザ・リング
振る人：アラゴルン
振られる人：エオウィン
相関図とエピソード：エルフの恋人がいる人間騎士（本当は次期王）のアラゴルン。
彼女とは強い絆で結ばれていますが、環境と立場の違いや、指輪問題で闘う相手が次から次へといすぎて、ろくに会えないどころか、もう二度と会えないことを覚悟しながら今日も闘っています。
そんな中出会った人間のエオウィン。エオウィンは早々にアルゴルンにぞっこん。目がハートとはこういうことだよというのを見せてくれます。
エオウィンはルックスもマブいですし、可憐な姿に反して剣の腕前も志も立派なんです！！
アラゴルンもエオウィンに対して広い意味での好印象は間違いなく抱いていて、闘いを離れつかの間の休憩ということもあり、距離がほんわかと縮まる2人。いやーーーこの時って一番楽しいよなぁあぁぁあ！！！！（取り乱しました）
つってもですね、アラゴルンは揺れるほど惹かれているというわけではないんですよ。ほんわかはしちゃってますけど。やっぱ彼女がエルフですから。エルフにはかなわん！
そしてまたアラゴルンは闘いにいかねばならなくなります！！
なし崩し的にさようなら…と思いきや、ぞっこんなエオウィンはなんと闘いについてきて、アラゴルンを困惑させます。
アラゴルン「どうしてここにいるんですか？」
エオウィン「分かっているはず」
分かっているはずーーーーー！！！かっーーーー！！！オシャレだなーーーー！！！！
たしかに分かっているし、「可愛い…」とほんわか思ってしまった自分がいることも、それによって期待させてしまった罪悪感もあるアラゴルン（めたくそ私の解釈です）
そこでアラゴルンが選んだ言葉とは……
「あなたが愛する者は影に過ぎません。私はあなたが求めるものに応えることはできない」
か、か、か、か、格好良いーーーーーー！！！！！
こんなん言われたらなんっっっっとも返せない！！！！
影じゃないんだけど！！！本当に好きなんだけど！！！
そう食い下がりたい気持ちもあるけど、あえて言ってくれてるんですよね、アラゴルンは。自分をちょっと下げてさ。
本当に伝えたいことは、後半の方。
でもダメ元で痛み分けに持ち込んでくれているんです。
ショックすぎるけど、納得するしかないじゃんか（涙）
エオウィンはしばらくはガーーーーーーン！！となるのですが、理解して受け入れることにします。
大事なところなんですが、受け入れたエオウィンのいい女度がアップしているんです！めちゃいい顔しているんですよ！
格好良く振られるって、こういう効果もありますよね。
据え膳のない世界線の最たる特徴。
痛みを受け入れて人として成長する。
きっと次こそすごく幸せな恋愛をできる予感を感じさせる。
私の格好良い振られ方選手権どうでしたでしょうか？
「あなたが愛する者は影に過ぎません」
これほどまでに、据え膳を食わないセリフがありましょうか。
私なら、私の影を愛した人に対して「ナルホドネー、私のコト、好きなんだネー」なんて調子に乗ってしまいそうです。心の据え膳はゴチになってしまいそう。
自分の影を愛する者に、そうだと伝える。それこそが「据え膳を食わない」という世界線だと教えてくれる見事なトップバッターでした。
自分を下げて伝えるところが、かっこよすぎます！！！
距離つまるときって確かに楽しいし、好き同士だよね？！って思う気持ちもわかるーー！！！
なのに、なのに切なすぎるー！！！「私を愛してはいけません。」とかだったら納得できずに理由は〜？！って問い詰めちゃうけど、影にすぎない…。といわれたらもうね。そのあと、「それでもいいからああ！」と言わないエオウィンも大人ですよね。素敵な女性！
お次はとりんさんです！！
とりんの格好良い振られ方＃02：草摩 夾（そうま きょう）
作品名：フルーツバスケット
振る人：草摩 夾（そうま きょう）
振られる人：草摩 楽羅（そうま かぐら）
相関図とエピソード：フルーツバスケットは十二支の動物憑きの奇妙な体質を持つ草摩家の面々と草摩家の分家に居候させてもらうことになった主人公の物語です。
楽羅は小さい頃から夾くんが大好き。
高校生になってもべったりです。
しかし夾くんは「俺は恋なんてしない！」という構え。
なぜなら、夾くんは呪いのせいで封印が解けると腐敗臭を放つ本来の姿（異形の姿）になってしまうため周りから受け入れられずにいるのです。
そんな夾くんを本来の姿を込みで受け入れたのが主人公でした。
大切な存在に気づいた夾くんは楽羅とちゃんと話をすることにします。
それを察した楽羅は自分が夾くんが好きになった理由を話だします。
もののけ憑きの楽羅は子どもの頃、自分のことをひどく嫌になり不安になっていました。
そんなとき、周りからひどい仕打ちを受けている夾くんを見て、自分は不憫でも哀れでもないと思って安心するようになり一緒に遊ぶようになります。
遊んでいたある日、夾くんのつけていた封印のブレスレットを無理やりとっていまい本来の姿にしてしまいます。
このとき、逃げた楽羅は自分自身のことを「汚い」と思うようになります。
楽羅はそんな汚い自分を無かったことにするために、夾くんを好きになろうとします。
好きになれば、汚い自分がなかったことになると思った辻褄合わせの恋でした。
この辻褄合わせの恋自体も汚いのに、それに気づかず猛アタックする楽羅。
そんなとき本来の姿を純粋に受け入れる主人公を見て、自分がいかに自己中で自分のために夾くんを追いかけてたか気付かされます。
そのことを夾くんに謝ると…。
夾くん「お前がわざわざお前を傷つけるようなことを言わなくたっていいだろ。楽羅、俺はお前を好きになったりはしない。最後まで好きにはならない。それを言いたかっただけだ。見下したとかそんなことはいいよ。お前が謝ることはいいんだよ。」
わあーーーーーーーん！（涙）夾くん優しすぎるだろおおおおおお！！
見下されてたのに！自分都合の恋なのに！優しいよ…。そしてきっぱり！！
さらに「楽羅！理由はどうあれ、一緒に遊んでくれたこと。嬉しかった。ありがとう。」というんですよ。
それよりも子どものころから孤独だった夾くんにとっては、楽羅にそんな自己都合があろうとも、声をかけてくれたこと一緒に遊んでくれたこと、自分に興味をもってくれたことが嬉しかったんですよね。
立場的に怒ってもおかしくないのに、それよりも感謝の気持ちを伝える夾くんが純粋でかわいくてかっこいいです。涙が止まらない。
最後には夾くんが泣いている楽羅を抱きしめて「ありがとう。」と伝えます。
ひたすら感謝を伝える夾くん…！
抱きしめるなんて思わせぶりー！と思うかもしれませんが、もう二人はわかってるんですよ。
好きになることも好きになってもらうこともない。
だからこそ最後のハグができたのかなと思いました。
誰も受け止めてくれない自分を好いてくれた楽羅がいたのに、それでもいかなかった夾くん。まさに据え膳に食わぬ！
楽羅の気持ちに気づいていたのかは定かではありませんが、夾くんが楽羅のことを思っての振り方のようにも聞こえました。
おそらく、結ばれていても楽羅も複雑だったでしょう。
ずっと自分の気持ちを封じて生きてきた夾くんも好きな人のために行動できてよかった！
楽羅も話せてよかった。怖かっただろうに。今の姿は全然汚くなんかないよ…！！
なんと！！ 楽羅が夾くんに対する想いは罪悪感からきているもので、純粋な好きではなかったんですね！！
それはちょっとなんだろ、カミングアウトされた側はどう咀嚼するのが正解なのか……言葉にならない……！
それでも、楽羅のために、振るていを保ちつつ、謝ることはないと、楽羅の罪悪感も解放して送り出してあげる夾くん、大人すぎます…！！
私が楽羅でしたらここから本気で好きになってしまいそうです！単純ですみません！
猛アタックの理由が切なすぎます…。まさに自分都合の恋。
それをまるまる受け入れて、相手を悪者にしない夾くん、それどころか、与えてもらったものに対して感謝も忘れない。
外野ながら惚れてしまいます…！
相手の失礼に怒るよりも、相手がくれたものに目を向ける。
そんな大事なことに気づかせてくれる尊いエピソードに胸がぎゅっとなりました。
シュシュの格好良い振られ方＃03：乾闥婆王（けんだっぱおう）
作品名：聖伝-RG VEDA-
振る人：乾闥婆王（けんだっぱおう）
振られる人：蘇摩（そうま）
相関図とエピソード：乾闥婆王と蘇摩は、主従関係にある女性同士です。
乾闥婆王も彼女を愛していましたし、彼女もまた、乾闥婆王を敬愛していました。
もともと乾闥婆王に仕えていた彼女ですが、恐怖政治により自分の一族を滅ぼした男に反逆するするため、逆賊の一味に加わります。
逆賊のトップが、乾闥婆王を仲間にしようとします。
当然彼女も、乾闥婆王が仲間になってくれることを望みます。
しかし、乾闥婆王は頷きません。
乾闥婆王は強い者についていくという、自分との誓いを破ることができないのです。
彼女は乾闥婆王にもらったピアスを触って震えます。
敬愛する乾闥婆王と敵対などしたくないのに、その願いは聞き入れられなかったからです。
乾闥婆王は、他の者の手にかかって命を落とすくらいなら、自らの手で愛した者の命を奪おうと、彼女に攻撃をしかけます。
彼女は乾闥婆王との闘いの最中、問いかけます。
蘇摩「何故私たちが戦い合わねばならないのですか！？ 乾闥婆王！！」
乾闥婆王「弱い人は嫌い こんなに好きなのに……駄目なの」
好きなのに駄目！！！！ こんなことってある！？
惚れた腫れたは、ときに何より重んじてしまう感情だったりします。
だからこそ、惚れた腫れたよりも大事なものがあるという矜持を見せられると、そのキャラがめちゃくちゃ魅力的に見えるのです…！！！
さらに、このふたりの関係が私の心に焼き付いていた理由は、乾闥婆王が、矜持と同じくらい、彼女を大事にしていたところです。
乾闥婆王はとても強いので、蘇摩に圧勝します。
しかし、乾闥婆王は、愛する者がいない世界で生きていてもしょうがない、と、蘇摩の手を取り、彼女の武器で自害します。
蘇摩がいる世界に生きててもしょうがない、と思えるほどに、乾闥婆王はちゃんと彼女を愛していたのです！！
自分の誓いにも、自分の気持ちにも、一切の嘘がない乾闥婆王。
かっこよすぎる…！！
自分の誓いに背けば、愛する彼女と謀反の道もあったでしょう。
自分の気持ちに嘘をつけば、彼女の意志を大切にせず、力づくでそばに置いておくと言う選択肢もあったでしょう。
乾闥婆王は両方しません。据え膳は一切食わないスタイルです。
そして、ヒツコスさんもおっしゃっていたように、かっこいい振り方には、かっこいい振られ方がともに存在します。
蘇摩は仲間にもなってくれず、自分に攻撃をしかけてきた乾闥婆王に、自分の血を飲ませて、不死者にしようとします。
彼女は一生に一人だけ、自らの血で不死者にすることができるのです。
その相手に、自分の望みを叶えてはくれなかった乾闥婆王を選びました。
仲間になってくれなくても、攻撃してきても、大切な人に変わりないのです。
蘇摩も使命を捨てて乾闥婆王のそばにいたら、命の安全も愛もあったでしょう。
帝釈天を討つためには乾闥婆王への敬愛をなくしてしまえば楽だったでしょう。
しかし、どちらも選びません。
彼女もまた、使命も、乾闥婆王への敬愛を忘れない正直な生き方を選んだのです。
妥協した先にある幸せ、据え膳に、決して手を伸ばそうとしませんでした。
そんなふたりだからこそ、惹かれあったし、そんなふたりだったからこそ、結ばれなかったのです。
ッカーーーーー！！！！！！
これを読んだのは中学生ですが、今でもがっつり心に残ってる関係性です。
また名前がそうま！！ そうまバブル！！
しかし、振るどころか殺すとは！！ 格好良い殺された方選手権を開いたら間違いなくそっちにもエントリーできるのでは。
「好きなのに駄目」って一番難しいやつ。私だったら好きで相手も好きでいてくれているならもう間違いなくいってまいます。いってから考えてまいます。でも、シュシュさんの言う通り、乾闥婆王には好きな気持ちよりも大事な矜持というものがあるんですよね！ 据え膳を食わないどころか、料理に使われた材料の生産地までいって生産をストップさせるスタイル。乾闥婆王、蘇摩それぞれの愛と魂を捧げた選択に心が震えます。
ぎゃー！こちらもカッコ良すぎるー！振ってしまいましたが、自分のプライドに対しても彼女に対しても筋を通す姿がかっこよかったです！！振っても振られても、それぞれの形で愛を表すところがとてもよかったです！
いかがでしたか！？
まだまだあるのですが（ヒツコスだけ）、思ったよりもひとつひとつのボリュームがしっかりしまった為、各自1つのエントリーで締めます。
私以外の2人は全く乗り気ではないのですが、反響が一件でもきたら個人的には続けたいと思ってる企画です。
ちなみにタイトルは大江千里さんの「格好悪いふられ方」をもじったのですが、一体何人の方がお気づきになっているのでしょうか？
とりんさんはぽかんとしておりました。
ファイナラの読者年齢層っていくつぐらいなの？おしーえてーおじいさんー！！
