【究極にまろやかなコーヒーのため①】自家焙煎じゃない理由
1日1杯コーヒーを飲まないとやってらんない皆様こんにちは。
前回、ブラックが飲めない代表とりんが、函館にあるサントラコーヒーさんの豆と推奨する淹れ方で飲んでみたところ、ガブガブ飲めてしまったというお話をご紹介しました。
この記事の最後にもあったように、今回からサントラさんのインタビュー連載がスタートします!
1回ではなく、連載です!
サントラさんがコンセプトに掲げる「究極にまろやかなコーヒー」の理由は一つだけではなかったので、連載という形になりました。
これを知れば、自宅でも”わかっている”人のコーヒーが淹れられるのでぜひ読んでいただけたら嬉しいです。
鹿内 誉之さん
SOUNTRA COFFEE AND MUSICのオーナー。
https://sountra.theshop.jp/
@Instagram:@sountra
2009年に北海道函館市にてカフェをオープン。
2014年に閉店するが、不定期で各地で出店。
2022年2月からオンラインショップをオープン。
「とにかくまろやかで飲みやすい」ことに特化したオリジナルブレンドを数種類販売中。
第一回目では、サントラさんのルーツや自家焙煎ではない理由について伺います!
CDを売るためにコーヒー屋さんを開いた
ーー 改めて…。まさかブラックが飲めるようになれるとは思いませんでした。ありがとうございます! 是非ともFinalAでまろやかで飲みやすいコーヒーの理由を語りまくって欲しいです!
鹿内さん:ブラックが飲めない人を飲めるようにすることが一番嬉しいことなので、光栄です! よろしくお願いします。
ーー まず、鹿内さんがカフェを始めたのはいつからですか?
鹿内さん:2009年の29歳のときです。実は、もともとカフェじゃなくてCDショップを開きたかったんですよね。
ーー えー!? あんなにコーヒーにこだわりがあるのに!!
鹿内さん:昔から音楽が好きで、7〜8年ぐらいCDを収集するということを続けていたんですよ。結果、何百枚も集まったのでこれは誰かに勧めないとという使命感に苛まれて、CDショップをオープンしようと思いました。でも、音楽のジャンル的にすごくコアなインディーロックだったので、集客が見込めないと思い、逆算して考えついたのがカフェの併設でした。
ーー なるほど! そこで、カフェが出てくるんですね。
鹿内さん:大好きなコーヒーを合わせて、音楽の流れる空間を作り、そこで流れている曲が気になった方にCDを買ってもらいたいというのが狙いになりました。
ーー コーヒーはいつから触れていたんでしょうか?
鹿内さん:中学生のときです。「いつかブラックコーヒーを飲んでみたい!」と思って飲んでいたんですが、19歳ぐらいのときに、今まで飲んでいたコーヒーがブラックだということに気がついたんです。
ーー え?!(大混乱) 何だと思って飲んでいたんですか?
鹿内さん:初めてのコーヒーがブラックだったんです。よくブラックは「苦くて飲めない」と聞いていましたが、僕は最初から飲めたのでそれがブラックだとは思いませんでした。ちなみに、マシンで淹れたコーヒーです。
ーー それはすごいです! 最初からコーヒー上級者…。コーヒーを追求しだしたのはいつ頃ですか?
鹿内さん:20歳からコーヒーに興味があって、一人でコーヒーの飲み方を独学で研究するようになりました。それこそ、とりんさんが淹れていたフレンチプレスから始めましたよー!
ほとんど毎日コーヒーを淹れて、トライアンドエラーを繰り返し、今の形に至りました。
中でも、美味しいコーヒーの淹れ方で紹介した「82℃のお湯で淹れること」は、サントラコーヒーの推しのこだわりの一つです。
ーー 私がよく聞くのは90℃だったので、82℃はびっくりしました!
鹿内さん:そうですね! 大体は90℃ぐらいだと思います。あとは、沸騰したお湯をポットに入れたら丁度良い温度になるとか曖昧な答えが多いけど、82℃という刻んだ数字を出すところはなかなかいないと思います。
“自家焙煎”じゃない理由
ーーまろやかなコーヒーのため、コーヒー豆へのこだわりもお伺いしたいです。
鹿内さん:いくつかありますが、ひとつは「自家焙煎じゃない」ことです。
ーー えぇ?! 美味しいコーヒー屋さん=自家焙煎のイメージでした。
鹿内さん:そう思われる方は多いですね。僕は、自家焙煎の能力とブレンド能力とコーヒーを淹れる能力は別だと考えていますし、経験からもそう思うので、僕が日本で1番焙煎がうまいと思っている焙煎士に任せています。
ーー つまり、良いプレイヤーが良い監督になれるとは限らない。みたいなことですかね?!
鹿内さん:まさに、そういうことです! もちろん、中には自家焙煎をして美味しいコーヒーを出している方もいらっしゃいます。なんなら、僕も自家焙煎という看板はもちろん欲しいです。でも、僕がイメージする本当に美味しいコーヒーを出すためには、僕よりもっと上手い人に焙煎してもらったほうがいいと判断しました。
ーー 近所のコーヒー屋さんで自家焙煎コーヒー豆を買ってるんですが、美味しい豆なのかどうか不安になってきました(笑)
鹿内さん:お客様からしたら、「自家焙煎」というだけで、とりんさんのように「自家焙煎=美味しい」までイメージされる方が多いと思います。
でも、変な話、自家焙煎って専用の機器があれば誰でも「自家焙煎しています!」と言える側面もあるんです。とりんさんでもいえるんですよ! なので、自家焙煎=美味しいと結びつくとは限らないんですよね。
ーー ちなみに、ご自身で焙煎したことはありますか?
鹿内さん:ありますよ!お店を開業した時にやっていましたが、お客様にはお出ししていません。やっぱり自分のイメージするコーヒーをだすには、上手な焙煎士の方にお願いするほうが良かったので、実店舗のときは僕の求める味に近い焙煎をしてくれていたコーヒー店から仕入れていました。
ーー 鹿内さんが求めているのは「まろやかで飲みやすい美味しいコーヒー」であって、自家焙煎をすることではないから、そこにこだわる必要はたしかにないですもんね。
鹿内さん:コーヒーって答えがないと思うんですよ。例えば、僕は先ほどから「82℃のお湯で淹れればまろやか」と言っていますが、そうじゃないという人もいるわけです。
まろやかなコーヒーにたどり着くルートは、他にもあるから、その道順によってコーヒーを出す人の個性が出てくるんだと思います。僕の場合その道順のひとつが自家焙煎を誰かにお願いするということでした。
ーー なるほど。全部できなくても美味しいコーヒー屋さんを目指せるんですね。
鹿内さん:居心地の良いカフェやコーヒーが美味しいカフェなど、どこか一つ売りがあるカフェはたくさんあります。だけど、一人でトータルでうまくやるっていうのはやっぱり難しいです。
カフェを作る上で、取捨選択をしたときに僕の武器を活かせるのは“空間や時間をつくること”。
そして、これは次回お話しますが“ブレンドセンスが長けている”ことも強みなので、これも焙煎を外部にお願いした理由です。
まだまだ出てくる、究極にまろやかなコーヒーの理由
「自家焙煎」を謳うコーヒー店が必ずしも美味しいとは限らないというのが衝撃だった第一回目。
お話を聞いて、餅は餅屋に任せるとはこういうこと!ということだなと感じました。
次回はブレンドにこだわる理由をお届けします!