【究極にまろやかなコーヒーのため②】ブレンドの理由
ブラックコーヒーが飲めなかったとりん。
しかし、究極にまろやかなコーヒーを追求し販売しているSOUNTRA(サントラ)さんのおかげで見事克服!
これをきっかけに、SOUNTRAさんにコーヒーについて質問を投げまくるインタビュー連載をお届けしています。
第一回目は自家焙煎じゃない理由。
そして、第二回目では、ブレンドにこだわる理由について教えていただきました。
鹿内 誉之さん
SOUNTRA COFFEE AND MUSICのオーナー。
https://sountra.theshop.jp/
@Instagram:@sountra
2009年に北海道函館市にてカフェをオープン。
2014年に閉店するが、不定期で各地で出店。
2022年2月からオンラインショップをオープン。
「とにかくまろやかで飲みやすい」ことに特化したオリジナルブレンドを数種類販売中。
コーヒーと向き合った8年
ーー ネットで見かけたんですが、サントラさんのことを函館の伝説のカフェとブログで書いている方がいらっしゃいました! 伝説だったんですね〜!
鹿内さん:そう言ってもらえてありがたいです…!
ーー 伝説となった2014年の閉店から、2022年のオンラインショップ開設まで8年ありますが、ブランクはなかったのでしょうか?
鹿内さん:ブランクはありました! ただイベントでの出店は時々していたんです。同時に、コーヒーをゼロから知ることを始めて、その8年を使ってより深く理解することができました。
ーー 8年間ひたすらコーヒーの研究を?
鹿内さん:はい。繰り返しになりますが、僕の目指すところは「まろやかで飲みやすいコーヒーを味わってもらうこと」です。そのために何をしたらいいか考えた結果、まず、コロンビアやモカなどシングルオリジンを一種類ずつ徹底的に飲むことにしました。
ーー 能力を発揮するには個性を知ることからという感じでしょうか?
鹿内さん:そうですね! コロンビアってこんな味なんだ。こういう焙煎が合うんだ。とか。改めて向き合っていったのと、原産国、産地、農園など調べまくりました。
ーー ワインみたいなものですね!
鹿内さん:そうそう。原産地の標高が高いとこういう味なんだとか。南米の豆はこういう癖があるんだとか、知識だけではなく、じっくり感じることで一つずつ理解していきました。それが2年ぐらい続きましたね。
そこからコーヒーとコーヒーの相性を見極めるブレンドの旅が始まります。これが楽しかったです(笑)
ーー 私からすれば、気が遠くなりそうな旅です(笑) ブレンドは自分で量を業者にリクエストするのでしょうか?
鹿内さん:ブレンドは自分でやっています! 僕は自家焙煎しないので、どこでお客様にサントラのオリジナリティを感じていただこうか考えた時に出た答えが自分でブレンドすることだったんですよね。
実店舗時代は、自分の理想に近いブレンドコーヒーを仕入れていましたが、今は「こういう味のブレンドを作りたいから、この豆を焙煎してほしい」という感じで10種類ほど焙煎士にオーダーしています。
ーー なるほど! 配合は1g単位で調節してるんですか?
鹿内さん:はい! 1gもずらさないです!
ーー 匠の技! これは他の誰かが再現しようと思っても難しいですね。
鹿内さん:はい! 今回サントラのオンラインショップをオープンするに当たって3種類作ったんですが、毎日ひたすら3種類のうちの1種類のゴールに辿り着くためにブレンドをし続けました。
ーー まさにFA! ものすごく時間がかかりそうですね。
鹿内さん:それが、3種類とも頭の中で考えてた配合が一発で決まったんですよ。
ーー それはすごいです! でも実店舗の経験があったこそのゴールですよね。
鹿内さん:そうですね。ドラゴンクエストの音楽を手がけたすぎやまこういち先生が、昔インタビューで「ドラクエのオープニングの曲を5分で作った」って言ってたんです。その後、インタビュアーの人に「5分で作った?」って聞かれるんだけど「5分で作ったと言っても、僕のこれまでの人生の55年+5分だ」って仰ってたんですよね。それと一緒です、と言うと畏れ多いのですが。
ーー それまでの人生で培ったものがあり、アウトプットが5分だったってことですね。
鹿内さん:そうですね。それぞれ10日ぐらいかかりましたが、単純に10日の話ではないですね。
ブレンドにこだわる理由
ーー サントラさんの三種類のコーヒー全て飲んだんですが、お世辞抜きに本当に美味しいです! これでブラックが飲めるようになったから、他のブラックが飲めるか心配です…。
鹿内さん:とりんさんみたいに、ブラックが飲めない人でも飲めるコーヒーというのはそんなにないんですよね。
カフェや喫茶店で出されているコーヒーは、苦味か酸味のどちらかが際立っているものが多いです。
とにかく苦い深煎りコーヒーを出しているお店だったり、最近はブルーボトルコーヒーを筆頭に、浅煎りで酸味の強いコーヒーを出すお店も増えてきています。
日本のコーヒートレンドはこの深煎りと浅煎りがぐるぐるしているんですよね。
ーー では、鹿内さんからみて、美味しい珈琲屋さんの共通点とはなんですか?
鹿内さん:一番の売りを「ブレンド」にしているところでしょうか。
明確に、お客様の口元までどういうコーヒーを飲んで欲しいかという考えがあるお店だと思います。
お店によっては、コロンビアやモカなどシングルオリジンばかり出しているところもあるんですよ。
でも、それって自分が“こういう味を飲んで欲しい”という考えではないと思うんですよね。
ーー シングルオリジン出すから、飲みたい人が来てくださいという考えをしているということですか?
鹿内さん:そうです! 決してそれが悪いわけではないです。
お客様が飲みたい味を選んでほしいという形式でシングルオリジンのみでやってるお店もあると思います。
ここから、僕がブレンドにこだわる理由に繋がってくるのですが、シングルオリジンを飲み続けて気づいたひとつの答えが、一杯のうちに「お客様は飽きるかもしれない」だったんですよ。
ーー 一種類だから、味が一辺倒になるかんじでしょうか?
鹿内さん:同じ味がずっと続く、という側面も持ち合わせてるなあと。
もちろん好みもありますけど、僕が万人に届くコーヒーを追求する上でまずは「ブレンドをする」ということにたどり行き着きました。
ーー なるほど! でも、コーヒーの味の好みは人によって違うと思うのですが、どうやって、万人にウケる三種類の味にたどり着いたんでしょうか?
鹿内さん:まずは、お客様の好みを聞いてブレンドをするということをしました。オーダーメイドのように作っていくのですがこれが思った以上に楽しかったです! 割と思うように、お客様の好みに沿ったコーヒーがだせたんですよ。
それはやっぱり、シングルオリジンを飲み続けて、その豆の特性を生かすためのブレンドとは?と向き合った時間のおかげだったなと実感しています。
ーー 流石、コーヒー界のすぎやまこういち! それで、三種類のブレンドが出来上がったんですね。
鹿内さん:そうですね。いろんな方にコーヒーの好みを訊くと、苦味や酸味の強弱の好みはあれど、みなさんやはり最後には「飲みやすいコーヒー」と仰います。それを踏まえてブレンドを作った結果が、浅煎りの「ライト」、中煎りの「ミディアム」、中深煎りの「ダーク」の三つになりました。本当は一人に一つのブレンドを作りたいけれど、オンラインショップでのコミュニケーションはなかなか難しいので、この三種類と独自で研究した淹れ方をお伝えして、まろやかで飲みやすいコーヒーを楽しんでいただくという形にしました。
ーー 三種類あればどれかはハマりますよね。ちなみにオーダーメイドで淹れたこともあるとのことでしたが、特別にFinalAブレンドを作っていただくことは可能なんでしょうか?!
鹿内さん:面白いですねー! 現在オーダーメイドの一般注文は受けていないんですが(ゆくゆくは始めるかもしれません)僕で良ければ限定ということでFinalAさんのブレンドをお受けします!
ーー きゃーー!!まさかのOK!!(笑) 言ってみるもんです!! ありがとうございます!
鹿内さん:実は先日出店したとき、ご高齢の女性から「私が若返るようなブレンドを作って欲しい」といわれて、面白いオーダーだ!と思って作ったら、すごく喜ばれたことがあったんですよね。なので、FinalAさんのブレンドもオーダー次第では面白くて美味しいコーヒーになりそうですね。
ーー 面白い! 負けられない! FinalAのライター陣はコーヒー好きが多いですし、読者の方にもぜひ試していただきたいとっておきのブレンドリクエストをさせていただきます。
というわけで、なんとFinalAブレンド爆誕計画が始動!
イメージを伝えてブレンドコーヒー豆をオーダーできる機会なんて滅多にない!
どんなコーヒーにしたいか、どんなコーヒーを皆さんに飲んで欲しいか早速会議をいたします。
近日、SOUNTRA COFFEE AND MUSICさんのオンラインショップで限定発売予定ですので、お楽しみに。
インタビューは第3回へ続きます。