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【人生にゴリゴリに役立つ本のみを紹介#03】ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか

 

先延ばし分析・対策本の金字塔爆誕

目標や課題や締め切り、明らかなゴールがあるのにも関わらず、そこに向かってヒトはなぜすんなり進めないのか。
人類の永遠の課題といってもいい先延ばし。
そこまで主語を大きくしても語弊がないと分かるのが、『ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか』。
ヒトはなぜ先延ばしにしてしまうのか

なんつってもタイトルからすでに先延ばしにすることが大前提ですから。
人じゃなくてヒトですから。ヒト科の方のですから。

先延ばし癖・後回し癖・計画性などをテーマにした本ってよく見かけますよね。
常に出ているし、売れているイメージがあります。
というか、私に売れていますね。
それ系に関しては、数多の本を読んできました。
そしてふと気付きました。

改善してない!!!

勘弁して。
参考になったものは多かったけど改善してないんです。

でも、『ヒトはなぜ先延ばしにしてしまうのか』はパラパラと何ページかを読んだだけで興奮で鼻血ブーするかと思ったほど、「見つかった感」がしました。
それ系の本の金字塔となり得るのではないかと思っております。

だってですね、『ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか』(長いから以下ヒトなぜで略します)は
〈この本を読むより先にするべきことがあるんじゃないですか?〉
なんてことをぶっ放してくるんです。

大当りすぎる。

めちゃくちゃある。
何もかも放り投げて、今は絶対に本を読むべきタイミングじゃない時に読んでる。
さらには、〈今あなたの周りの状態がどういう状態か当ててみせましょう〉とFBI超能力捜査官みたいなことを言ってきて、部屋の中の状態とか抱えている日々のタスクとか当ててくるんです!!!

これは、著者自身に先延ばし癖があるので先延ばしにする人の気持ちが分かるんだ、と言っています。

そんな著者のピアーズ・スティール(Piers Steel) さんは、産業心理学と組織心理学の観点から、先延ばしとモチベーション研究をしてきた第一人者で、先延ばしをテーマに博士号を取得した人物。

先延ばしをテーマにした本はたくさんあると書きましたが、それもそのはず、「先延ばし」は、経済学に始まり神経科学に至るまでさまざまな学問分野で研究されてきており、発表されている論文は実に800本を超えるらしいのです。

研究するには、これまで研究された内容を把握しなければいけない。
そりゃしんどいぜ、と思ったピアーズさんは、「メタ分析(分析の分析)」を採用します。
数学的な方法を用いて、膨大なデータの中から共通項となる中核的要素を抽出する方法だそうです。

先延ばし癖は現代社会の深刻な流行病

先延ばしを生む原因の一旦は脳の構造によるものであり、遺伝子的要素が関係しています。
いかなる歴史上にも文化圏にも先延ばしは存在しているそうです。古代エジプトから現代のニューヨークまで。
人類皆先延ばし。
しかし、環境的要因も大きな原因となっているということがピアーズさんの研究により解明されたのです。
しかも、現代人は先延ばしが重症化していると言うのです。
なるほどなぁ(サグラダファミリアを思い浮かべながら)(たぶん違う)

先延ばしとはものごとのを延期することではない

では、そもそも先延ばしとはなんなのか?

〈先延ばしとは、単にものごとを延期することではない〉と書かれています。

ピアーズさんは〈自分にとって好ましくない結果を招くと知りながら、自発的にものごとを延期すること〉と定義しています。
〈自分の首を締めると承知の上で、というのがミソだ〉とも。

心当りありすぎる。
ミソすぎる。

また、先延ばし癖と怠け癖も区別して考えるべきだそうです。
先延ばし癖の持ち主は、やりたいことを実行したいと思っていて、たいてい最後には実行するのだそうです。
では、やるまでの「やらなさ」の要因とはなんなのかということです。
それを知らなければ、先延ばし癖を克服するのは難しいのです。

合理的な遅延と非合理な遅延

ピアーズさんいわく、遅延は、合理的な遅延と非合理な遅延の2つに分類されるそうです。
懸命な延期は合理的な遅延。
例えば、報告書の作成に未着手の人がいるとします。
2、3日のうちにプロジェクトが打ち切りになると判断している、中止にならないとしてもすぐに仕上げられるのならば、これは懸命で合理的な遅延ということになります。
この場合、目の前にある仕事にとりかからないと不安いう理由のみで、中止になる可能性がある仕事までするのは、先延ばし癖の持ち主ぐらい非効率ということになるそうです。
ちょ、深いーーーーー!!!!

ヒトなぜがすごいのは、ここに斬り込んだところですね。めっちゃ上からですみません。
つまり、先延ばし癖のない人、いつも締め切りに間に合うことができても実は非効率で苦しみが伴っている人がいるのではないか、と。
先延ばしにはしていないけどドキッとした人も読む価値ありです!

そもそも人間とは非合理的な意思決定をしてしまうもの。
人間の不合理性の要素を組み入れることで合理的なアプローチができるという行動経済学も基盤となっています。

先延ばし度と先延ばしタイプ

それではここからがピアーズさんの研究による分析の真骨頂。

自己診断テスト①で先延ばし度を測る

自己診断テストの①では、加点設問式で先延ばし度を測ります。※診断は本を読んでやってくださいね!

・最軽度(全体の10%)
・軽度(全体の15%)
・中軽度(全体の50%)
・重度(全体の15%)
・最重度(全体の10%)

私の結果を知りたいですか?

最重度でした。
しぬんだけど。

言い訳させてくれ。

私は、対外的締め切りにはぎり間に合うんですよ。
対内的締め切りでは全遅延ですけど。
ヒトなぜの中に〈一握りの幸運な人たちは火事場の馬鹿力のおかげで課題を完了できる〉とあるのですが、私はまさにそれ。
で、その火事場の馬鹿力でやってこれたおかげでいつまでも先延ばし癖を直さない…というループなような気がしています。

ただ、昔は対外的な遅延もありありでした。
はい人生オワター!!!という瞬間が何回もあったんです。
マジで懲りて、ようやく対外的な締め切りには間に合うやり方を身につけたのが今なんです。
耐えられないほどの恐怖が伴う遅延には本当に心から懲りたんです。

本書には、当時の私の状態そのものともいえる、先延ばしにする人のやってること考えそうなことが、それはそれはネチネチと書かれています。
現在当てはまっている人は、かなり白目になると思います。
その上で非常に怖いところを抜粋しますよ。

〈先延ばしの積み重ねは、あなたの人生がむしばまれ悲惨な結果を招く〉

ギャーーーーーーー!!!!!!!

って思った方、私もですが、ギャーーーーーーー!!!!!!!って思うのは、きっと「深層心理ではそれを分かっている」からですよね?
分かっているなら大丈夫!
もちろん急には変わりません!
先延ばし癖が完璧に直るなんてこともたぶんありません。
昔の私のように対外的にやっちまってるところならば、まずは対内的のみで七転八倒するところまでいきましょう。
それだけでもだいぶ楽になれましたから。
いけます!
この本がサポートになるはずです!

自己診断テスト②によるタイプ別症状

ここ超肝心!
結局タイプなんです!
肌やパーソナルカラーやパーソナルデザイン同様、先延ばし癖だってその人の特性と傾向なのです。
自分のタイプを知らにゃ対策できん!

エディ・バレリー・トムと3名の架空の先延ばしモデルが登場し、どのタイプに当てはまるかを自己診断します。

エディ指数が高い人 どうせ失敗すると決めつけるタイプ     

バレリー指数が高い人 課題が退屈でたまらないタイプ

トム指数が高い人 目の前に誘惑に勝てないタイプ         

ファイナラメンバーを登場させてみました。
それぞれやってみたところ、シュシュさんがエディ、私ととりんさんがトムでした。
こちらも点数判断なので、割合は人によって変わってきます。三者の混合型もいますし、メインがこれでサブがこれ、というような捉え方もできます。

タイプ別:エディ・バレリー・トムの先延ばし要因とは

まずエディタイプから解説していきます。
エディタイプのモチベーションを邪魔しているのは「期待」です。
結果に対する期待が小さく、目標に向けて努力することが難しいということです。
※注意:エディーのこのセクションは動物実験による検証例が出てきます。気分が悪くなる可能性がある方は読まない方がいいです。本を手にした際は、すっ飛ばして対策の章に進むことをオススメします。
心理学には「学習性無力感」という言葉があり、ものごとを簡単にあきらめる傾向が強く、本腰を入れて課題に取り組むことができずに先延ばしにするタイプ。

バレリータイプのモチベーションに影響しているものは「価値」。
義務や責任を負うことが嫌がるのがこのタイプ。やらなければいけない仕事や課題に価値を感じず、義務や仕事を果たそうとすするとことごとく気が滅入り先延ばしにする方です。
著者のピアーズさんはバレリータイプだそうですよ!!この本の執筆に時間がかかったと書いてありました。価値感じないんかい!と突っ込みました。

トムタイプが抱えている要因は、「期待」でもなく「価値」でもなく、先延ばしの本質そのもの。おいっっ!本質きちゃったよ。
ザ・先延ばし人間はトムタイプが多いとのこと。
自分の首を締めると分かっていながら、衝動性が強く、将来の大きな快楽より目先の小さな快楽を優先させるそうです。トムタイプの決定要因は「時間」。
衝動性と先延ばしの関連性は科学的に裏付けられているそうです。
衝動性の強さ、伴う根気のなさ、自己コントロール能力の弱さ、集中力の乏しさ、と先延ばしの中核をなしているのがトムタイプ。先延ばしの宝石箱や〜(泣いてます)

上記の通り、「期待」「価値」「時間」が先延ばしの構成要素だとされています。
その人の中で確実性(=期待)とご褒美(=価値)が小さければ課題に取り組む確率も小さくなり、ご褒美が入る時期が遅いまたは忍耐力心が弱いと(=衝動性)やはりモチベーションは減退します。

先延ばし克服プランとは

タイプが分かったところで、具体的な克服方法とは。

自信がないエディタイプは成果を積み上げ鼓舞するものに触れる

自信がないエディタイプは興味のある課題に取り組み成果を積み上げることが有効。
例えば、川下りや山登りに挑戦する、料理やキックボクシングなど新しいことを学ぶ、以前からの趣味でいっそう高いレベルを目指す。
また、鼓舞される映画や伝記の成功物語に触れてモチベーションをかきたてる。講演やスピーチを聞くのもいい。
エディタイプには脳内コントラスティング法というものが強く推されています。プロスポーツ選手が目標を達成するために活用しているテクニック。
理想的なプレーを頭の中で詳細に再現させることで、神経細胞が活性化されて、実際に成功させてた場合と同じぐらいプレーが刻み込まれるそうです。
面白いのが、少量の悲観主義を取り入れることを推奨されているのもエディタイプ。
〈自己改革を成功させるためには楽観主義と現実主義のバランスを取る必要がある〉ので、〈失敗を計算に入れる〉ことが必要。

課題を退屈だと感じるバレリータイプはゲーム感覚と目的意識をもつ

課題を退屈だと感じるバレリーはタイプは、ゲーム感覚と目的意識をもつことが有効。
例えば、定型の書類仕事などは、今までの半分の時間でできないか?片手でできないか?目をつぶってできないか?(って書かれてましたが、できないだろ)
ピアーズさんは言います。
〈あなたはここまで本を読み続けてくれた〉〈自分に関連があると思えば、私たちは本を読み続ける〉
だから、課題を自分に関係あるものだと感じればいいのだと。
自分にとって重要な目標の追及に役立つと思えば、先延ばしにするリスクが小さくなるそうです。
大目標の前に、小目標をいくつも設定し、順々に達成していくこと仕組みを作る。
バレリータイプは課題にとりかかることを周りに公言することも合っていると書かれています。
意志の強い人物だと認められたいというゴールをもつと、課題を放り出さず誘惑をはねのけることが楽しくなるそうです。
このタイプは「なにを避けたいか(回避目標)」ではなく、「なにを実現したいか(接近目標)」という形で長期の目標を決めることで、先延ばしを減らすことができます。
著者がバレリータイプなので、実践してきた方法について詳しく書かれています。

誘惑に弱いトムタイプはキュー(きっかけ)の活用とサブゴールを設定する

おまっとさんでございました。ザ・先延ばしのトムタイプは、何はなくとも「誘惑に勝てない」ことを克服する必要があります。
簡単に言ってくれるな!
そのためには、どういう誘惑が自分を待ち受けているかを把握することが大事だそうです。
仕事をしなければいけない時にどういう誘惑に負けやすいのか、敵の正体を練って戦略を練ります。
対処法は大きく3つあり
①誘惑を手の届かない場所に置く。
②欲求が膨れ上がる前に満たすように心がける。
③誘惑に屈すると不愉快なことが起きるように手配し誘惑の魅力を下げる。

トムタイプは圧倒的に作業環境そのものをコントロールする必要があります。
先延ばし人間が最も先延ばししがちな活動が「クローゼットや引き出しの整理整頓」だそうです。
整理整頓のモチベーションが高まるのは、他の課題に追われている時のはずだ、と。
透視!!!当たりすぎて…!!
なぜそうなるかというと、トムタイプは「キュー(きっかけ)」に反応しまくってしまうからだそうです。
キューが気がそらし、本来の課題を忘れさせてしまうんですって。
なんか3タイプの中で動物っぽいですよね…トムって…。そんな簡単に忘れんなよ…。キューごときで…。
ネットで調べ物してて、いつの間にかネットショッピングしているタイプとかこのタイプですよね。私なんですけど。
そして、キューの地雷原とも言えるのが、整理整頓できていない職場環境だそう。
仕事環境を整理整頓しましょうとシンプルなことが書かれていました。
また、キューに弱い特性を活かし、誘惑なキューを追い出したあとは、適切なキューを作り出すといいそうです。
バッドキューからのグッドキュー!
やるべき課題をリストアップして貼っておくとか。これはたしかにマジで効果がありますね。
私ももうあかんとなった時に最後の手段でやります。これからは最初からやろう。
愛する家族の写真をデスクに置いておくのが有効な人も多いとありました。ファミリーキュー。
私がトムなもので長くなってしまいますが、もうひとつ、私が対外的な遅延はしなくなった方法が本に書かれていたこととかぶっていたのでご紹介します。
〈さんざん先延ばしにしていた課題に着手した時、思っていたほど不愉快ではなかったという経験が多い人〉は、普段から課題に対してサブゴールを設定するといいそうです。
私だとしたらですが、ブログ記事を書く際、今日は日中に写真を撮る、今日はフォルダにまとめる、今日はアップロードするなど、細切れに作業を進めています。どんだけ細切れだよって感じなんですが、私は写真がもーーーめっっちゃくちゃ苦手なんです。いつも写真待ち。
それこそ着手したら別にそんなに疲弊するほどでもなかったなって感じなんですけど、心にある壁がすごい。
「ブログに写真をアップする」というゴール設定にしちゃうと、もう一瞬も着手したくないんです。
だからまず撮るだけ。なんなら撮るものを用意するだけの日もあります。
この方法は他の苦手なことにも応用しております。

以上、それぞれの対策を書きましたが、超一部のみを抜粋しております。
ここはじっくりと深掘りして書いてある大事なパートですので、ぜひ実際に本を読んでくださいね。

先延ばしは克服しすぎることも禁物

最後の最後に、〈先延ばしのしすぎは本物の人生を送れなくなるが、完全になくそうとすることも同じこと〉とかましてくるんですが、この本の素晴らしいところは、著者のそういうバランス感覚による研究結果だからだと思います。
感情に突き動かされて目先のことしか見ないのは振り子が一方に極端に振れているが、理性がはたらきすぎて遠い将来のことしか考えられなくなるということも同じぐらいの弊害がある、と。
また、感情をコントロールするということは、感情を否定するのではなく、感情を尊重する必要があるとも書かれていました。
私の大好きな中庸バンザイです。

根本的な先延ばしする脳のメカニズムや、あらゆることに応用できそうやモチベーション理論の方程式の中身についてなど、本記事では触れられなかった章がいくつもあるので、少しでも興味のある方は本当にヒトなぜを読んでみて欲しいです!

私個人としては、誘惑キューに気をつけて、対内的締切りに対しての苦しみを減らし負荷を軽やかにすることを目指していきます。