1. HOME
  2. コラム
  3. 【映画コラム】後味の悪さが気持ちいい!!おすすめイヤミス洋画3選
コラム
【映画コラム】後味の悪さが気持ちいい!!おすすめイヤミス洋画3選

【映画コラム】後味の悪さが気持ちいい!!おすすめイヤミス洋画3選

コラム

 

「イヤミス」という言葉とその意味をご存知でしょうか。

私は言葉だけはなんとなく見聞きしていました。
また、その言葉が湊かなえ作品を代表するようなテイストを指すっぽいとはうっすら分かっていたのですが、言葉の上辺の上辺を横目で見るぐらいで深追いしたことがなく、めちゃくちゃ勝手に「ミス嫌味」という意味だと思っていました。
そしたら「嫌な気持ちになるミステリー」の略でした。

読むと嫌な気分になるミステリー、後味の悪いミステリーのこと。社会派、ホラー、青春小説などジャンルは様々である。イヤミスという言葉を最初に使ったのは、霜月蒼とされ、『本の雑誌』2007年1月号で「このイヤミスに震えろ!」というタイトルの連載がスタートしている。 代表的な作家に湊かなえ、沼田まほかる、真梨幸子、秋吉理香子、歌野晶午、貫井徳郎らがいる。辞典・百科事典の検索サービス – Weblio辞書

そりゃそうだよミス嫌味ってなんだよ!と思われましたよね?
私も思ってました。イヤミス?ミス嫌味?は?意味分からんって。
湊かなえの話にはミス嫌味な人ばっかり出てくるからイヤミスっていうの?変なのって。
いやだからミス嫌味ってなに。ミセスとミスターどうした。

思い込みって本当に怖いですよね。
人は見たいようにしか物事を見ない。基本的に自分が正しいと思っている。
そんな人間の愚かさや傲慢さをえぐって掘り起こした物語こそがイヤミス=嫌な気持ちになるミステリーなのです!!!

後味の悪さが気持ちいい!!殿堂入り以外のおすすめイヤミス映画3選

そんなこんなでイヤミス映画コンテンツ周りをぐるっと一周してきたのですが、よく名前が上がっている作品はこちら。

▶︎告白
▶︎愚行録
▶︎暗黒女子

大納得です。
ストーリーはもちろん、映像表現・役者さん達が素晴らしいのも特徴ですね。
「告白」を映画館で観た時は色んな意味で最初から最後までひっくり返りぱなしでしたし、個人的には「愚行録」はイヤミス映画のトップオブトップです。落ちたい時には必ずこれを観るというほど人間の醜悪さが詰まっています。「暗黒女子」は女子のこってりとした濃度の甘さと毒を味わえてイヤミスぎっしりたしかな満足でした。

本記事では、これまで名前が出てきていない、湊かなえ以外殿堂入り以外のイヤミス洋画をヒツコスがご紹介したいと思います。このために全て観返しました。褒めて!!

欧米スクールカーストのすったもんだが面白い「穴」

中高生のイヤミス映画デビューにオススメしたい。
って中高生がこのサイトを見てるわきゃないだろ。
漫画を読んでいるように観れるすごく分かりやすい展開なので、普段あまり映画を観ない人のイヤミスデビューにピッタリです。

穴(字幕版)

https://m.media-amazon.com/images/I/81HCYHqlsOS._AC_UL640_FMwebp_QL65_.jpgストーリー:イギリスの名門パブリック・スクールから、四人の生徒が忽然と姿を消した。十八日後、失踪者の中から薄汚れ、憔悴しきった少女リズがたった一人で戻ってくる。彼女に、そして三人のクラスメイトの身に、いったい何が起こったのか?やがてリズが、「事件」の核心について回想を始める。初めはちょっとした思いつきから生まれた、無邪気な冒険だった。リズたち四人は地理の研究旅行をさぼって週末を楽しく過ごそうと、第二次世界大戦の防空壕跡の「穴」に入ったのだ。ところが迎えに来るはずだったマーティンが来なかったことから、パーティー会場の「穴」は地獄へと豹変する・・・。(C) 2001 – PATHE PICTURES LTD

分かりやすさ度★★★★★
ヒール(悪役)度★★★

後味ズシン度★★★

密室ミステリー?サスペンス?っぽいのですが、いわゆるスクールカーストが人間関係のメイン軸となっており、じゅうっっぶんにイヤミスです!!
セレブ学園で4人の男女が行方不明になり、唯一生存していた女子高生が事件をカウンセラーに語り出すところから始まるのですが、「ブレイボーン学園では美人で痩せた子だけが世界の中心」なんて言っちゃうんですから。

いいっっっ!!!
非常にいいっっっ!!
こりゃあ分かりやすいすったもんだがありそうですぞぉぉぉ!!

私と同世代の人はわかると思うのですが、主人公の女子高生はソーダバーチが演じています。ソーダバーチは、キラキラ女子と対局の欧米サブカル女子を演じて有名になった子なので、今回の鬱屈した視点で生きている役がこれまたハマっています。対して、1軍女子をキーラナイトレイが演じているのですが、マ、マ、マブイ〜!!! 顎を突き出して廊下を練り歩いてるのですが、この学園の女王ということが一目で分かる佇まい。分かりやすいー!!!

しかし、羅生門スタイルで視点が変わって語られることで、真相は一体…?となる映画。

ヒール度を★★★にしたのですが、被害者の数はけっこうすごいので審議はあると思います。しかし、全体的に行動原理が純粋かつ幼稚に感じるため(それがこの映画の分かりやすさにつながってるのですが)このようなジャッジにさせていただきました。

性悪以上の支配欲に震える「パッション」

さてお次は打って変わって、大人の性悪ってこういうことだよな…となった「パッション」

パッション(字幕版)

クリスティーン(レイチェル・マクアダムス)は、野心を隠さず、狡猾さと大胆な行動で広告会社の重役へと登り詰めた。アシスタントであるイザベル(ノオミ・ラパス)は、当初は憧れを抱いていたクリスティーンの手によって手柄を奪われ、同僚の前で恥辱を受け、彼氏に裏切られたことで殺意が芽生え、遂に復讐を決意する。しかし、その計画は自分自身が不利になるような矛盾に満ちたものだった‥。 (C) 2012 SBS PRODUCTIONS – INTEGRAL FILM – FRANCE 2 CINÉMA

昼ドラ度★★★★★
ヒール度(悪役)★★★★

後味ズシン度★★

めちゃくちゃ性悪な女性上司と部下の社内バトルが想像以上の事件へと展開する、ある意味見たまんまのストーリーです。意地悪すぎて、気の毒すぎてぷっと笑えるような演出があり、昼ドラのように面白く見れる作品。※監督はブライアン・デ・パルマ。超巨匠。

でも、私的にパッションは穴よりもだいぶ複雑だと思ったのが上司の行動原理です。
部下の手柄をとってさらにその立場を貶めたいという目的は分かりやすいのですが、映画を見ている間「なんでそんな手間ひまかけて必要以上に傷つけるの?」という疑問がつきまといました。

しかし、大人の性悪とはこういうこと。
大人になるとストレートな意地悪をするのはバカしかいません。狡猾な人ほど、あの人意地悪な人だよねと誰から見ても分かることをするわけがないのです。

さらに、自分の損得勘定以上の支配欲があるタイプは本当に本当に厄介。
きっと皆さんもそれがあなたのなんの得になるの?と聞きたくなる嫌な行動をする人に出くわしたことがあるんじゃないでしょうか?

この女性上司も手柄をとって出世するだけでも良かったはずなんです。部下にうまいことを言って飼い慣らすことだってできたはず。
しかし、並々ならぬ他人をコントロールしたい欲求を持っている人は、自分の人生に利益があることだけでは満足しません。
こういう人が最も達成感を得られるのは「他人の人生を破壊すること」だからです。こっわ!!書いててこっっわ!!!

その点「穴」の主人公は自分の利益や目的のためなら他人の人生がどうなってもいいタイプ。
他人の人生がどうなってもいいタイプと積極的に破壊したいタイプには大きく差がありますので(どちらも関わりたくないですが)ご注意ください。

イヤミス映画は後者のタイプが出てきてこそ盛り上がる傾向にありますので、ヒール度★★★★を差し上げます!!

ウィットに富すぎ!小洒落た捻りのイヤミスなら「シンプルフェイバー」

初見で観た時、なんじゃこの映画!!とびっくりしたのが「シンプルフェイバー」

シンプル・フェイバー(字幕版)

ニューヨーク郊外に住むシングルマザーのステファニー(アナ・ケンドリック)はブログを運営している。ある日、同じクラスに息子を通わせるエミリー(ブレイク・ライブリー)に誘われて、豪華な邸宅を訪ねることになる。事故で夫を失い、保険金を切り崩しながら子供を育てている朗らかで気立てのいいステファニーと、スランプに陥っている作家の夫、ショーン(ヘンリー・ゴールディング)と愛し合い、華やかなファッション業界で働くどこか気怠くミステリアスなエミリー。対照的なふたりだったが、親密な仲になっていった。ある日、エミリーが突然失踪してしまう。親友を助けたいと思ったステファニーは、自身のブログでも情報を募るが、彼女の行方はつかめなかった。やがてミシガン州でエミリーを目撃したという情報が入るが……。(C)2018 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

ウィットに富んでる度★★★★★
ヒール度(悪役)★★★

後味ズシン度

役者陣の豪華さに対して、作品のスケールが合っているのか分からなくなるあまり観たことがない不思議な映画でした。が、とんでもなく面白い。
脚本がめちゃくちゃ練られていてとにかく小洒落ていて小粋。台詞や演出がウィットに富んでいて、美術やファッションも凝っていて、大作の派手さはないけどすごく贅沢な映画です。

自由奔放で華やかな業界で働くブレイクライブリーと、地味め(というか普通)で家庭料理をブログ発信しているアナケンドリック。
2人は友人関係なのですが、水面下ではブレイクライブリーの身勝手さに主人公が振り回される主従関係があり、何かが始まらないわけがないっっ!!

事件はブレイクライブリーが突然姿を消すことから始まるのですが、うーん、ネタバレになるのでここら先は何も言えない。
前半はとにかくアナケンドリックの演技が職人級に可愛面白くて目が離せないですし、中盤以降は展開が2転3転4転5転して目が離せなくなります。

ちなみに後味ズシン度が★ゼロ。見直したら後味悪いどころか気分爽快でした。
ちょっとセレクト間違えた!でも面白いから見て!

イヤミスにはフレネミーが欠かせない。で、結局湊かなえには敵わない。

以上、おすすめイヤミス洋画3選をご紹介しましたが、3作品に大きな共通点を発見。
それはフレネミーの存在がいること。

語の友(friend)と敵(enemy)を掛け合わせた造語で、「友人を装った敵」のこと。一見自分を慕う良い友人のように思えるが、内心では自分に敵意を抱いていたり、押しのけて取って代わろうとしたりする人物のことをいう。「ライバル関係にある友人」を指すこともあるコトバンク フレネミー

殿堂入りのイヤミス作品のほとんどにもフレネミーが出てきます。湊かなえ作品なんてフレネミー大集合!
フレネミーが物語を動かし、フレネミーが物語を運び、フレネミーが物語の後味を悪くさせる。
イヤミスたる物語とはフレネミーの存在が欠かせないのでしょう。

殺人事件は多くの人にとってニュースや物語の中の出来事ですが、友達という存在は現実と地続きなものです。だからきっとイヤミスは他のミステリーと違い、どこか知っている感覚になり、生々しく嫌な気持ちになるのではないでしょうか。

それにしても後味ズシン度が★★★を超えるものを紹介できなかったのが無念。
結局湊かなえには敵わない。
イヤミスは日本独特のお家芸なのかもしれません。