【ただのコラム】剛毛ですけどいいんですか?
とある日のこと。
私は、雪音さんから「次のシルソワさんのコラボ、ひーちゃんにモデルをやって欲しいと思ってるんだけどどうかな?」と言われた。
モデル。
そこから波及する様々な出来事や絵を一瞬で想像し、私の口から真っ先に飛び出した言葉はこういうものだった。
「剛毛ですけどいいんですか?」
シルソワ(Cilsoie)とは、雪音さんが愛用されているハンドメイドのアクセサリーブランドの名前である。
昨年、雪音さんがシルソワと初コラボしたアクセサリーを発売した暁に、当メディアが関わらせていただいたのだ。
今年のコラボは、前回よりもパワーアップした撮影環境でルックイメージを作ろうと思っている。と雪音さんは大事に大事に温めてきたであろうプランを話してくれた。
シルソワとのコラボに対する雪音さんへの想い入れは、側で見てきて、話を聞いてきて、十分に分かっているつもりだ。
ローンチまですごく楽しまれていたし、それ以上に緊張もされていたと思う。
ここだけの話だが、7キロ痩せてしまったと聞いた。
あの華奢な身体から7キロも落ちるものがあるのかと、そこにまず驚いたものだが、シルソワを心から愛しているからこそ、シルソワが築いてきた世界観を崩してはいけない。手にするユーザーが喜んでくれるものでないといけない。そして、商品である以上、売れないといけない。
あらゆる立場の観点にたって、コラボをする価値を生み出さないといけないのだ。それも絶対的にだ。
そのプレッシャーはいかほどのものか、想像だけではあるが、想像はできた。
というわけで、手前味噌だが、雪音さんのシルソワコラボ案件に関しては、私は最大の理解者といえると思う。
もちろん雪音さんの旦那さんが一番の理解者に決まっているが、家族ではない他人だからこそ、時と場合によっては、私の方が理解してることもあると思うのだ。
って、別に「雪音さん理解度選手権」で張り合いたいわけではない。
何を言いたいかというと、私は、雪音さんが抱えていた期待とプレッシャーをダイレクトに見届けた一人である。
その上で、モデルになって欲しいというオファーに対して、出た言葉が「若くないし」とか、「有名じゃないし」とか、「モデルなんてやったことないし」ではない。
あらゆる懸念点をぶち抜いて、私が躊躇らしきものを見せるたったひとつの理由が、剛毛だけどいいのかな?だったのだ。
図々しいことこの上ない。情けないようでたくましくもある。
時間差で自分で自分にびっくりしたものだ。
しかし、だ。
あの返しは、瞬発的なものではあったが、熟慮したとしても、私は同じ確認をしていたと思う。
シルソワのアクセサリーは、繊細、儚げ、幻想的という言葉がよく似合う。
反対に、私は、髪質、肌質、骨質、肉質が頑丈で剛健で動物的なのだ。
剛毛に始まり、肌は真皮が厚くハリがあり、骨格はしっかりしていて、ハト胸で立体的な身体つきだ。ついでにおそろしく福耳だ。
シルソワのヘアアクセが吹っ飛びやしないか、チェーンがはちきれやしないか、アクセよりも福耳の方が目立ちはしないか。
様々なことを瞬時に思い浮かべた。
つまり、だ。
価値と意味を作る責任感を感じ取った末、プレッシャーが凝縮されたことによる、剛毛確認だったのだ。
シルソワが築いてきた世界観を崩してはいけない。手にするユーザーが喜んでくれるものでないといけない。そして、商品である以上、売れないといけない。
すなわち、雪音さんというブランドに傷をつけてはいけない。
オーマイガーである。めっっっっっちゃ自信がないぞこりゃ。
これは紛れもない本音だ。ヘアアクセサリーがふっとんでは世界観もへったくれもないではないか。
私の剛毛確認に、雪音さんは「全部どうにでもなるから大丈夫」と言った。私の第一声があまりに唐突すぎて、雪音さんの答えも相当なことになっていた。
どこまで言葉の意味合いを正確に汲み取り合っているは定かではないが、お互いに真剣勝負なのは間違いない。
私はきっと、質問をしたかったのではなく、想いを受け取ったことをただただ伝えたかったのだと思う。
そういう意味で、真剣な剛毛確認には、真剣などうにでもなるという回答が完璧なのだ。
何よりたしかなのは、私に自信があろうがなかろうが、雪音さんがその貴重で記念すべき緊張関係に私を引きずり込むことを選んだということなのだから。
ブラピここに極まり。
こうして、計画は動き出した。動き出している。
ちなみに、予言しておくと、私は1キロも痩せないと思う。
緊張で痩せた経験が一度もないからだ。
剛いのはやはり髪の毛だけじゃなかったようだ。
どんだけ。
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