【ただのコラム】ハグでまごつく私たち
先日、ネイルサロンのモニターで流れていてるおもろくもなんともないアメリカのドラマを見ていました。
これがほんっっっとに面白くないんです。このネイルサロンでしか見たことがないし、タイトルも役者さんの名前も聞いたことない。
平均2週間に1度、かれこれ2年ほど同じネイルサロンに行ってるんですけど、どういう理念があるのか、一生このドラマしか流れてないんですね。だから私も一生このドラマを見ているんです。
ジャンルとしては、捜査系のチーム系。
リッチまではいかないですが、パッと見そこまで酷い絵面ではなく、登場人物のビジュアルもまぁまぁ魅力があるんですよ。だったら面白いまではいかなくても、時間潰しになるぐらいまではいきそうじゃないですか。
でもなんでなの。明らかにすっっっっっごい面白くない。
ちゃんとテーマっぽいものがあって、展開の起伏っぽいものがあって、解決っぽいものがあるんですけど、お話の連続性が下手過ぎる。
良さげなそれっぽいシーンの断片のみが出てくるから、目で追っていてもこっちの集中力が続いてないような気にさせられるんです。
で、気付いたらちゃんちゃらーちゃーんちゃんーってエンディングテーマが流れて、え!っとなります。
登場人物がやれやれって感じの微笑みをこぼしながら一丁前の大円団っぽいものを迎えてるんですけど、いつの間にすぎる。
よっしゃ今日こそ物語の胴体をしっかり掴んでおくぞと思っていても、やっぱり気付いたらちゃんちゃらーちゃーんちゃんーってうなぎのようにするっと抜けていくんです。
そんなこんなで私があまりにガン見しているからでしょう。スタッフさんに「これ面白いですか?通して見たことがないからいまいちどんなストーリーか分からないんですよね」と言われたことがありました。
「通して見てもいまいち分からないです…」と答えて微妙な空気になったのですが、先日も負けずにガン見していました。
そうするとこんな断片シーンに出くわしました。
レギュラーキャラの女性の家に人が訪ねてきて、ドアを開けると悲しそうな顔で佇む男性。男性は言葉を発さずただ立ち尽くす。女性は一瞬声をかけようかためらったが、何も言わず手を差し伸ばし腰を抱き部屋の中で優しく引き入れる。
あーこういうのっていいよね!
どうしたの?とか何かあった?とか聞く前に、黙って部屋の中に入れるシーンっていいよね!
ちなみに、男性がなんで悲しそうなのか、この2人ができてんのかできてないのかできてたのかなどは、見ていましたが全く分かりません。
でもこういうシーンはいい。憧れる。
ということで、自分に当てはめて考えてみました。
インターホンが鳴り、開けると(オートロックの画面で見えちゃうが)そこには青木(崇高)(急)。
唐突な訪問に、何があったかは分からないが、顔を見て傷ついていることは分かる。ヒツコスは黙って手を差し伸べ、青木の身体を部屋の中へと引き寄せる…
のだった。
といきたかったんですが、あれなんかまごつく。
すっといかん。
逆にしてみよ。私が引き寄せてもらえるバージョンね。目をうるうるさせねば。おし、いったろ。
ピンポン。
ガチャ。
無言で立ち尽くす私を見つめる青木(崇高)(急)。
何かを言いかけるがやめて、目を離さず身体を引き寄せる。そして肩を抱きながら部屋の中へと招き入れ…まごっ!つくっ!
やっぱここでまごつくんだけど。なぜ?
靴脱いでっからじゃね?
いや下半身まごまごしてるもんー!すっといかんもんー!!
どうしても一回目線靴にいくっしょ。
目見つめ合いながらカカトで靴から足出す?いや行儀悪いし靴散らばるし。
ストラップのある靴やブーツだったらどうすりゃいいのよ。
一回しゃがまんとムリー!
そいで、ストラップ外して、脱いだら一言「お邪魔します」ですよ。
靴脱ぎタイムでちょい冷静になってるから、こっちは。
台無し! あの目と目で通じ合ってる時間台無し!
ハグってやっぱり日本人からすると、挨拶レベルでする人は少ないだろうし、多くの人が感情表現としても深い仲じゃないと出せない国民性だと思うんですね。
昔、飲み会の別れ際に一人ずつハグしていく友達がいて、自分の番がくるのにガッチガチに緊張していました。腕を肩に回すか腰に回すか、頬はすり合わせるのか。それぐらいやっぱり慣れてない。
「ハグ」というものにはっきりその一線が見えるというか、あれやこれやをすっ飛ばしてガバッといけない理由に、土足厳禁という文化も影響しているのではないでしょうか。
ちゃんちゃらーちゃーんちゃんー。
ハッ!
そんなことを考えていたら、エンディングテーマ。終わってた。何が解決されたんだろう。
今日の内容が分からなかったのはお話のせいじゃなくて、私のせいです。